海外のFX業者「FXDD」を、総合的な視点でレビューします。
FXDDは2002年にアメリカで設立されたFX業者で、20年以上の歴史を誇る老舗です。今ではXMやGEMFOREXなどの台頭により人気を落としていますが、かつては「海外FXといえばFXDD」といわれるほど、多くの日本人トレーダーに利用されていました。
しかし、ネット上では「ゼロカットを謳っているのに追証を請求された」「出金できない」「レートが滑る」など、悪評が大半を占めており、FXDDに良いイメージを持っている人は少数です。
この記事では、FXDDのメリット・デメリットをまとめるとともに、ネット上で悪評が多すぎる理由について探ります。
これからFXDDで取引したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
公式サイト:FXDD | MT4 / MT5で安全安心取引
FXDDの良い評判・メリット
プレミアム口座のスプレッドが狭い
FXDDには「スタンダード口座」と「プレミアム口座」の2種類の口座タイプが用意されていて、プレミアム口座はスプレッドが狭く抑えられています。
スプレッドが狭いかわりに、スプレッドとは別に取引手数料が徴収されますが、その額も1lot(10万通貨)あたり$4.99 (0.499pips相当)と安いので、スタンダード口座に比べて取引コストを格段に抑えられるのがメリットです。
最もスプレッドが狭いのはUSDJPY(米ドル/日本円)ペアで、表示上のスプレッドは平均0.4pips、取引手数料を加味しても実質0.9pipsほどで取引できます。
最大500倍のハイレバレッジ
スタンダード口座、プレミアム口座ともに最大500倍レバレッジで取引できます。
日本国内のFX業者は、最大でも25倍までしかレバレッジをかけられないので、国内の20倍も高いレバレッジで取引できるのは海外FXのFXDDならではの魅力といえます。
仮に$1=130円のUSDJPY(米ドル/日本円)を1万通貨取引する場合、国内FXだと52,000円の証拠金が必要になりますが、FXDDではわずか2,600円の証拠金で済みます。
海外FXにしてはスワップポイントが好条件
FXDDのスワップポイントは2022年7月現在、USDJPYのロング、EURUSDのショート、EURJPYのロングなど、多数のペアでプラススワップが設定されています。
海外FX業者はスワップポイントがロング・ショートともにマイナスのケースが目立つため、FXDDのスワップは海外FXにしては好条件といえるでしょう。
スワップポイントがプラスになるポジションを持てば、長期トレードで日々のスワップを稼ぐことができ、仮にポジションで含み損を抱えていても、スワップでカバーすることができるかもしれません。
MT4とMT5両対応
FXDDの取引プラットフォームは、MetaQuotes Software社の「MetaTrader」(メタトレーダー)が採用されていて、MetaTrader 4(MT4)とMetaTrader 5(MT5)両方に対応しています。
MetaTraderはFXの取引プラットフォームとしては世界トップシェアを誇り、海外FX業者の多くはMetaTraderを採用しています。
もともとはWindows向けに開発されたMetaTraderですが、FXDDでは独自にMac対応版も配布しているので、Macユーザーの方でも安心して取引できます。iPhone・iPadとAndroidスマホをお使いの方はアプリをダウンロードして使いましょう。
裁量トレードを行うならMetaTrader 5、自動売買を主にやるならMetaTrader 4がおすすめです。
FXDDの悪い評判・デメリット
ゼロカットを謳っているのに過去に追証を請求した
海外FX業者の多くは、追証が請求されない「ゼロカットシステム」を採用しています。
レバレッジを効かせたFX取引では、相場の急変動によって口座残高を超える損失を被り、口座残高がマイナスになる場合があります。
国内のFX業者は、残高がマイナスになったときにマイナス分を顧客へ請求する「追証」が設けられていますが、ゼロカットシステムを採用しているFXDDなら追証が請求されない仕組みです。
FXDDでもかつてはゼロカットシステムを導入していましたが、2015年1月15日に起きたスイスフランの大暴騰「スイスフランショック」が起きた際、突如としてゼロカットを廃止。口座残高がマイナスになった顧客に対して、いきなり追証を請求しました。
FXDDの予告のないゼロカット廃止は、顧客に対する裏切り行為であり、これ以降FXDDは信頼を大きく落としました。
スタンダード口座のスプレッドはかなり広い
FXDDのスタンダード口座は、プレミアム口座に比べてスプレッドが広く、倍近く開いています。
例えば、USDJPY(米ドル/日本円)やEURUSD(ユーロ/米ドル)では2.2pips、GBPUSD(ポンド/米ドル)では3.4pipsもスプレッドがかかります。
USDJPY | EURUSD | GBPUSD | |
---|---|---|---|
FXDD | 2.2pips | 2.2pips | 3.4pips |
XM | 1.6pips | 1.7pips | 2.2pips |
FXGT | 1.6pips | 1.6pips | 2.2pips |
AXIORY | 1.3pips | 1.3pips | 1.6pips |
Exness | 1.1pips | 1.0pips | 1.5pips |
参考までに、スプレッドが比較的広めといわれるXMTradingですら、USDJPYは1.6pips、EURUSDは1.7pips程度で取引できるので、FXDDは海外FXのなかでもトップクラスでスプレッドが広くなっています。
これほどまでスプレッドが広いと、せっかく値幅を稼いでもスプレッドで目減りして、結局ほとんど利益が残らないという事態になりかねません。
Fxddのスプレッドどうにかならんかね( ̄ー ̄)
— nexus (@nexusjpn) November 25, 2010
11月第5週(12月第1週)ポンド円のトレードプランです。#GBPJPY #環境認識 #トレードプラン
— 暁@ポン円トレーダー (@crimson__FX) November 28, 2021
FXDD、スプレッドが51.9って酷すぎん? pic.twitter.com/mslJVFFad6
滑りやストップ刈りが目立つ
FXDDは昔からレートの滑り(スリッページ)が酷いことで知られています。
なんと、2012年にはトレーダーが不利になるスリッページを意図的に起こし、NFA(全米先物協会)より処分を下されています。
300万ドル(約3億円)以上の返還命令がFXDDに下され、FXDDとNFAは裁判で争ったものの、結局FXDDは300万ドルを支払い、自社の不正を認めるかたちとなりました。
不正騒動が解消したことで改善したかと思いきや、今でも約定力が低くて滑りが目立つほか、ストップ刈りと思われる不自然な値動きも報告されているので、安心してトレードできる環境とはいえません。
10月28日の楽トレ16。FXDDで売買。USDJPYのエントリで15pipsも悪い方に滑り、ロスカット時にも悪い方に5pips滑る。想定より合計20pips損失が膨らむこととなった。EAの最大スリップは10pips設定だったがそれを超えた。
— かぼちゃ大王 (@kabochagk) October 29, 2015
FXDDは約定いい方にも滑るけど悪い方にも吹っ飛ぶし、なにしろスイスショックの時の応対がクソすぎたらしいので考えもの
— ビー (@jet_wednesday) June 19, 2016
ちなみにFXDDは元アメリカ認可のブローカー。顧客に不当なスリッページを発生させたとして約3億円の罰金を課せられたことがあります。
— ヨネダ メガネ(海外FX) (@fxsearch1) May 16, 2020
もちろんアメリカからは撤退してマルタに移動、その頃から本格的に日本市場に参入。約6~7年前ですかね。
今は主にバミューダ法人でサービスを提供中。
分別管理のみで信託保全はなし
FX業者の安全性をはかるうえで絶対に見逃してはいけないのが、資金の保全方法。
顧客から預かったお金を信託銀行へ預け、万が一業者が倒産しても100%返金される「信託保全」があるか否かで、その業者に対する評価は大きく変わってきます。
FXDDでは、運転資金とトレーダーの証拠金を別々に管理する「分別管理」は講じているものの、第三者期間で保全する「信託保全」はないので、万が一FXDDが経営難に陥ったときに顧客の資金が流用されるリスクはゼロとは言い切れません。
信託保全を設けていない業者へ多額の証拠金を預けることはおすすめしません。最悪失っても支障のない額を入金しましょう。
入金・出金手数料が高い
FXDDではいくつかの入出金方法を用意していますが、入出金方法や場合によっては手数料が取られることがあります。
まず入金についてですが、日本国内の銀行から入金する場合、入金額の2.5%が手数料として差し引かれます。例えば、10万円入金すると2,500円、100万円入金すると25,000円も手数料として引かれてしまいます。
また、出金する際、月1回までの出金であれば手数料無料ですが、月2回以降の出金については$40(約5,000円)の手数料が差し引かれます。
海外送金で出金する場合、受け取り銀行側でも2,500円〜5,000円程度の手数料がかかるため、月2回以降の出金では7,000円〜1万円ほどの手数料がかかる計算で、割高と言わざるを得ません。
FXDDの口座タイプ
スタンダード口座 | プレミアム口座 | |
---|---|---|
取引方式 | STP方式 | STP方式 |
口座の基本通貨 | JPY, USD, EUR | JPY, USD, EUR |
最大レバレッジ | 500倍 | 500倍 |
1lotの価値 | 100,000通貨 | 100,000通貨 |
最小ロット | 0.01 (1,000通貨) | 0.01 (1,000通貨) |
最大ロット | – | – |
スプレッド | 極めて広い | 狭い |
取引手数料 | – | 1lotあたり$4.99 |
取引ツール | MetaTrader 4 MetaTrader 5 | MetaTrader 4 MetaTrader 5 |
FX通貨ペア | 54種類 | 54種類 |
貴金属 | 7種類 | 7種類 |
株式指数 | 12種類 | 12種類 |
個別株 | 20種類 | 20種類 |
エネルギー | 3種類 | 3種類 |
仮想通貨 | 4種類 | 4種類 |
最低入金額 | $250 | $250 |
ボーナス | – | – |
最適な用途 | 長期トレード | デイトレード スキャルピング |
FXDDの取り扱い通貨ペア・銘柄
FXDDの取り扱い通貨ペア・CFD商品をすべてまとめました。
- メジャー通貨ペア (7種類)
-
AUDUSD, EURUSD, GBPUSD, NZDUSD, USDCAD, USDCHF, USDJPY
- クロス円ペア (10種類)
-
AUDJPY, CADJPY, CHFJPY, EURJPY, GBPJPY, NOKJPY, NZDJPY, SGDJPY, TRYJPY, ZARJPY
- マイナーペア (37種類)
-
AUDCAD, AUDCHF, AUDNZD, CADCHF, EURAUD, EURCAD, EURCHF, EURDKK, EURGBP, EURHUF, EURMXN, EURNOK, EURNZD, EURPLN, EURSEK, EURTRY, EURZAR, GBPAUD, GBPCAD, GBPCHF, GBPNZD, GBPZAR, NOKSEK, NZDCAD, NZDCHF, USDCNH, USDDKK, USDHKD, USDHUF, USDMXN, USDNOK, USDPLN, USDRUB, USDSEK, USDSGD, USDTRY, USDZAR
FXDDのスプレッド・スワップ
FXDDのスプレッドは口座タイプによって異なり、スタンダード口座よりもプレミアム口座のほうが狭くなっています。
また、スタンダード口座は取引手数料がかからないためスプレッドのみを表記、プレミアム口座は手数料が発生するため平均スプレッドと手数料を加味した実質スプレッドを併記しています。
銘柄 | スタンダード口座 | プレミアム口座 (平均 / 実質) |
---|---|---|
EURUSD | 2.2 | 0.5 / 1.0 |
USDJPY | 2.2 | 0.4 / 0.9 |
GBPUSD | 3.4 | 1.5 / 2.0 |
USDCAD | 2.4 | 0.6 / 1.1 |
USDCHF | 3.0 | 1.6 / 2.1 |
AUDUSD | 1.9 | 1.0 / 1.5 |
NZDUSD | 2.2 | 1.3 / 1.8 |
EURJPY | 3.9 | 1.5 / 2.0 |
GBPJPY | 5.4 | 2.8 / 3.3 |
AUDJPY | 4.4 | 2.2 / 2.7 |
XAUUSD | 0.430 | 0.200 |
BTCUSD | 52.00 | 52.00 |
続いて、スワップポイントもみてみましょう。
2022年7月26日現在、1lot(10万通貨)のポジションを保有した場合の1日分のスワップポイントを日本円建てでまとめました。
銘柄 | 買いスワップ | 売りスワップ |
---|---|---|
EURUSD | -1,246円 | +197円 |
USDJPY | +231円 | -1,319円 |
GBPUSD | -732円 | -163円 |
USDCAD | +40円 | -95円 |
USDCHF | +223円 | -1,511円 |
AUDUSD | -534円 | +170円 |
NZDUSD | -218円 | -477円 |
EURJPY | -175円 | +67円 |
GBPJPY | +15円 | -612円 |
AUDJPY | +53円 | -838円 |
XAUUSD | -793円 | -223円 |
BTCUSD | -6,553円 | -6,553円 |
FXDDの入金方法
FXDDが用意している入金方法は以下のとおり。
入金方法 | 最低入金額 | 手数料 | 反映時間 |
---|---|---|---|
国内銀行送金 | 2万円 | 入金額の2.5% | 1営業日 |
海外銀行送金 | – | 無料 | 3〜5営業日 |
クレジットカード デビットカード | – | 無料 | 1営業日 |
bitwallet | 2万円 | 無料 | 1営業日 |
NETELLER | – | 無料 | 1営業日 |
日本人が手軽に利用できるのは、国内銀行送金とbitwalletによる入金ですが、いずれも最低入金額が2万円に設定されている点に注意しましょう。
なお、国内銀行送金で入金する場合、入金額の2.5%が手数料として差し引かれて取引口座へ反映されます。
FXDDの出金方法
FXDDが用意している出金方法は以下のとおり。
入金方法 | 手数料 | 反映時間 | 利益分出金 |
---|---|---|---|
国内銀行送金 | 月1回まで無料 | 3〜5営業日 | |
海外銀行送金 | 月1回まで無料 | 3〜5営業日 | |
クレジットカード デビットカード | 月1回まで無料 | 数日〜2ヶ月 | |
bitwallet | 月1回まで無料 | 1〜2営業日 | |
NETELLER | 月1回まで無料 | 1営業日 |
出金方法も入金方法と同様の選択肢がありますが、カードで出金できるのはカードで入金した分までで、利益分はその他の方法で引き出すことになります。
出金方法を問わず月1回までは無料で出金できますが、月2回以上の出金については一律$40(約5,000円)の手数料が差し引かれるため、頻繁に出金すると手数料が嵩んでしまいます。
海外送金で$100(約13,000円)以上を出金する場合は、出金回数問わず一律$25(約3,000円)の手数料が差し引かれて銀行へ着金します。また、受け取り銀行側でも2,500円〜5,000円ほどの手数料が取られるので、海外送金での出金はおすすめできません。
FXDDの口座開設〜取引開始までの流れ
FXDDの口座開設と取引開始までの具体的な流れは、次のとおり。
- FXDDの口座開設ページにて新規登録を行う
- メールアドレスの認証
- 詳細な個人情報の入力 (住所、投資歴など)
- 身分証明書のアップロード
- 住所確認書のアップロード
- 口座へ入金する
- MetaTraderをインストールして取引を始める (パソコン・スマホどちらもでOK)
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